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clip paint lab 0.8(clipStudio)使用雑感

 イラスタとコミスタの後継Clip Studioが発表されましたね。
 これにともなって実質イラスタとコミスタはフェードアウトになるっぽいです。
 現在Clip Paint Labのバージョンは0.8が無料で公開中です。
 おそらく1.0担った段階でClipStudioとしてリリースされるんじゃないかなと思います。

 イラスタ・コミスタの購入者はClipStudioは無償、またコミスタの上位版を持っている人は、来年夏頃にリリースされるclipStudioの上位版も無償、そのほかのコミスタ・イラスタユーザーは優待価格で販売とのことです。
 上位版clipStudioが2万前後ということなので、優待版は1万前後くらいでしょうか。
 このあたり詳しくは公式を参照して貰うのが確実だと思います。

 さてさて、0.7から随分パワーアップしたClip Paint Lab。
 その使用雑感ですをぼちぼちと。
 イラスタ・コミスタに比べて足りない機能はありますが、使ってみると結構楽しいツールでした。
 個人的にいい点悪い点をちょっと順番に書いてみます。

 まず良い点、楽しい点。
・64bit対応、PSD、PSB対応。
 これは大きいですね。大規模なファイルには心強い限りです。
 PSDに対応したことでほかのアプリのデータを読み込んだり書き出したり出来るようになりました。
 PSBはphotoshopの新しい形式の一つ。1辺が30万ピクセル以上、1ファイル2GBを超えるデータを扱えます。
 64bit化で大規模化すると必要だろうと判断したのだと思います。

・速度
 確実にイラスタより軽いです。
 これは良いことです。
 過去にイラスタで書いた結構込み入ったデータをPSD経由で読み込ませてみましたが、イラスタではしばし悩まれてしまっていたストロークも結構ほいほいと書いていきます。
 起動も速いですね。
 イラスタコミスタでは素材読み込みが起動速度のネックだったようですが、今回はデータベースエンジンにsqliteを使うようになったのも大きそうです。

・ベクターレイヤー対応とパワーアップ
 イラスタ・コミスタからベクターレイヤーが大幅にパワーアップしています。
 従来も書いた後に変形が出来ましたが、制御点で変形出来るようになりました。
 SAIでいうところのペン入れーレイヤーと同じような感じです。
 ただ実際はペンのストロークでベジュ曲線を描いているのでSAI風というよりイラストレータのほうが近い気がします。
 またイラスタ・コミスタ譲りの便利機能「交点まで消去」も可能です。
 Clip Paint Labではサイズに加えて濃さとパターンも持てるようになりました。
 パターンに対応したので、鉛筆など画材調のタッチもいけます。
 ペン入れまで荒い鉛筆ツールを使っていた自分には割と朗報な機能ですね。

・フラットなペン(描画)ツール
 なんのこっちゃかと思いますが、イラスタコミスタのツールでは鉛筆、ペン、水彩などそれぞれ機能が異なり、扱えるパラメータに違いがありました。たとえばペンツールには筆圧で不透明度を調節出来なかったり、鉛筆に混色設定がなかったりです。
 Clip Paint Labでも鉛筆やペンという区分こそありますが、これは見た目や整理の便宜上のもので、各ペンツール同じパラメータが扱えます。
 つまり鉛筆ツールに今あるブラシに混色機能を持たせることも出来ますし、水彩に「角をとがらせる」を付けることも出来ます。
 雰囲気としては「鉛筆っぽい設定にしているから鉛筆フォルダに入れてるだけ」というだけで設定次第ではパターンブラシや水彩機能を持たせることが出来ます。
一つのサブツールカテゴリによく使うツールをちゃんぽんで 入れるカスタムパレットを作ることも出来て、表示方式をタイルに切り替えれば、SAIのカスタムツールトレイのようにも出来ます。

・パラメータの追加、細分化
 パラメータ設定のところにあるスパナアイコンをクリックすると表示されるサブツール詳細パレット。
 この中身も随分増えています。
 まずうれしいのが、濃度やサイズや混色に個別の筆圧カーブを設定出来るようになったこと。
 また複数の影響を同時に掛けることが出来ます。たとえばサイズは筆圧と傾きに影響され、濃度は筆圧とストロークの速度に影響される、などの条件を作ることも出来ます。
 勝手に入り抜きを付けてくれる機能も改良され、サイズだけではなく濃度などにも適用出来るようになりました。
 入り抜きにフェードというのが増えたので、ストロークを引いていくと筆先のインク量が減っていく感じも再現出来ます。
 またSAIにあったストローク速度による濃度を一定にする機能が増えました。
 混色の挙動も選べるようになり、低筆圧時に色を混ぜるのかぼかすのか選べるようになりました。
 アンチエイリアスの効き具合も調節可能になり、よりなめらかにもなります。気になる人は多かったみたいですね。
 手ぶれ補正の見え方もイラスタ風(カーソル遅延なし)とSAI風(描画中はカーソル遅延)を選べるようになりました。
 あとこれは前のバージョンからですが、投げ縄ツールにも手ぶれ補正が設定出来て「囲み塗り(投げ縄塗り)」が出来るようになりました。

・カスタムツールの可搬性
 自分好みのツールを作成するときにカスタムサブツールを作成するを選ぶと表示される「入力処理」と「出力処理」。
 なんのことかという項目ですが、これは「どのツールを使って(入力)」「何をするか(出力)」を指定するところになります。
 たとえば入力をペンにして、出力を選択範囲にした場合、ペンで塗ったところが選択範囲にになるSAIでいうところの「選択ペン」になります。
 入力をデコレーションペンにして出力を吹き出しツールにした場合、デコレーションペン(パターンブラシ)で縁取りされた吹き出しが作成されます。
 入力をペン、出力を定規にするとストロークが定規になります。(普通逆でしょうけど)
 こんな感じで工夫次第ではいろいろ出来そうな感じの機能に仕上がっています。

・レイヤー合成結果
 レイヤーの合成というと「乗算」や「スクリーン」というものがあります。
 この合成の式は大まかに決まっていますがソフトによって微妙に癖があります。
 たとえばスクリーンや乗算はphotoshopを基準にした場合は、イラスタは強めに、SAIは弱めにかかります。
 結果、混色の傾向と相まって淡い感じの塗りに強いという評価になったのだと思います。
 今回Clip Paint Labの合成結果はphotoshopよりSAIに近くなっているようです。
 これは好き付きあるかと思いますが、淡い感じの塗りに強くなったのではないでしょうか。
 個人的にはphotoshop合わせのほうがうれしいのですが、イラスタより精度が良くなっているので良しとします。

・操作系いろいろ
 サブツールに直接ショートカットを割り当て出来るのはそのままに、いろいろと増えています。
 まずメインカラーとサブカラー、透明色のトグル切り替え、いわゆるSAI互換。これで拙作のismodは不要になりましたw
 虫眼鏡ツールで「ドラッグ」の項目を設定することで、虫眼鏡ツール時にドラッグすることで無段階に拡大、縮小することが出来ます。これ慣れると結構気持ちいいです。いwゆる最近のphotoshopに実装されたアレです。これで拙作のismodは不要に(ry
 ホイールの挙動もカスタマイズ出来ます。ズームの方向も設定出来ますので、これで拙作(ry

 さてさんざんほめた後に残念部門です。
 なおこれは12月14日段階で0.8を使っての話なので、0.9や正式版では改善、実装されている可能性がありますし、自分が気付いてないだけかもしれませんのでそこのところを勘定に入れて参照ください。

・グラデツールがない!
 グラデツールを多用するので是非に欲しいですね。
 コミスタと統合ということでおそらくトーン処理の都合などで実装が遅れているんじゃないかと思います。
 出来ればイラスタのデータをインポート出来るとうれしいですね。

・レベルフィルタ、カラーバランスフィルタが無い
 調整系のフィルタはイラスタくらいの種類は欲しいです。

・パレットが分離出来ない。
 マルチモニタなcintiq使いとしてはクローンウィンドウやナビゲータをメインモニタに表示して、色味や全体をプレビューしたいのです。
追記 パレットを親ウィンドウ外には出せました。画面端に吸着するんですね。

・インジケータがない
 イラスタにあったインジケータ表示。
 スライダーの代わりに任意の値を設定出来て便利だったのですが。
 スライダーの値も対数ぽくしてあり、よく使う数字を操作しやすいようにしてありますが出来ればインジケータが欲しいです。

・レイヤーから選択範囲が作れない
 レイヤーサムネイルをctrlでクリックするあれです。
 ないと微妙に困りますね。

・選択範囲レイヤー(チャンネル)がない。
 これも無いと微妙に困りますね。

・パース定規がない
 定規ツールでも代用できますが、なんだかんだであると結構便利なんです。

・素材を登録できない
 これは0.8だからでしょうけども、追加できるようになるともっと楽しいかなと思います。

・カラーヒストリーがない、中間色パレットがない
 イラスタにはペン先の色の履歴を表示してスポイド出来る機能がありまして、あれ大変重宝していたのですが、今回はまだないようです。
 中間色パレットも常用はしないですが、無いとふとしたときに困りますね。

・用紙レイヤーが消せない
 テクスチャとか作るときちょっと困ります。

・状態表示
 イラスタはツールバーに今のブラシ先の情報やキャンバスの反転の有無などが一目で分かるアイコンを表示できましたが、あれ個人的に便利だったので欲しいですね。

・レイヤーの変換がない
 これは別に8bitレイヤーを復活して、という訳ではなく指定輝度を抽出する方法を確保して欲しいです。
 これは明るいところだけを抽出してぼかしたものを比較(明)で重ねるDFフィルタを使うときに大事かなと思います。
 イラスタではレイヤー変換を組み合わせて出来たのですが、Clip Paint Labではまだ出来ないみたいですね。
 
残りはClip Paint Labが悪いのか自分の環境か設定が悪いのか分からないところ

・抜きが途切れるときがある
 速度を上げるとすっと抜けるのに、ゆっくりと丁寧に抜こうとすると線がぶつと途切れます。
 筆圧の設定を弄りすぎたのか、イラスタの「筆圧調整」ツールに頼りすぎたのかどっちだろう?

 あとはどうするの?というところがカラーデータの扱い。
 カラースライダーにCMYKがありますが、内部データはどうするのでしょうか。
 イラスタは内部RGBで表示上CMYKに変換していましたが、商業印刷まで考えるのならば内部CMYKに対応するのでしょうか。これも来年夏の上位版待ちのような気がします。

 ざっとはこんな感じでしょうか。悪い点はもっとあったかも(いや、確実にあるのだろうけど)ぱっと思いつかないのでこれくらいで。
 3D関係はあんまり使わないのでノーレビューです。

 漫画制作環境については、まだこれからのところが多く、今すぐコミスタの代わりになる、という訳ではなさそうです。
 また今回見えてきた感じから、コミスタと同じパイプラインの機能が実装されるわけではないかもしれません。
 コミスタは「Aということをしたい場合はAという機能を、Bということをしたい場合はBかCという機能を」と比較的パイプラインが固定化されていた感じがあります。
 Clip Paint Lab(clipStudio)はペンのパラメータやカスタムツールの感じから、パイプラインを可変にしたいのではないかなと思います。
 AやBやCという個別の機能を実装するのではなく、いろんなことが出来るツールシステムを実装してそれを目的ごとに組み合わせて使うという感じかなぁ。

 セルシスさんは「コミスタと同等の機能を」といっており、全く同じ機能とは言っていません。なのでベタ移植な実装はないかもしれません。
 ただ実装的にはこっちのほうがモダンな気がします。
 今後の実装でツールシステムに一つ足すことでこれまでにない機能やペンが生まれる、そんな可能性を感じます。
 ただコミスタに慣れ親しんだ人には再習得が必要かもしれませんね。

 本当はTF101の雑感続きのはずでしたが、思いの外、長くなりました。
 かゆいところにまだ手が届かないところも多々ありますが、個人的には弄りがいがある良いツールになってきているなぁという感じです。
 描画ツールとしては確実にSAIをターゲットにしている雰囲気があります。
 イラスタ・SAI+コミスタ+photoshopを足して3か4で割った感じという感じでしょうか。
 目下、clipに会員登録する必要ことあれ、無料公開されているツールとしては高機能なツールですのでイラスタユーザーもそうでない人も弄ってみるといいかもしれません。(オンラインマニュアルを片手に)


#余談
いつの頃からかFC2ブログの管理画面の左ペインのリンクが無効になっていたのですが、どうもadblock plusが原因だったようです。
要素を壊していたんでしょうね。無効にしたら直りました。
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